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編集長・古戸郷子からのメッセージ 「捨てられない悩み」は尽きないけれど、 ものとの出会いはやっぱり……

モノを買う楽しさも忘れないでほしいものです

厳しい寒さの毎日が続いています。風邪をひいている方もとても多いですね。

できることなら「親家片」も少しお休みして、ゆっくり考えたり、だれかと話をしたりという時間が持てたらいいなと思います。

 

とはいえ、捨てられない、片づかない……イライラを抱えている方は、なかなか気が休まりませんね。無理して一気に、涙をのんで捨てるのだけはやめましょう、とセミナーなどではお話ししていますが、ものを減らしてすっきり暮らすことが、やはりいいのだ(もちろんいいことなのです。ほんとうに心がすっきりして晴れ晴れするのであれば)という考え方にとらわれすぎて、自分を苦しくしてしまうのは、やはり人生の愉しみを減らしていることではないかなと思ってしまう私です。

 

と申し上げるのも、親家片を経験して、自分は絶対に子ども世代にこんな思いはさせない、ものは持たない……と決心を新たにする方が、とても増えているからです。ものに囲まれすぎて、いつも探し物ばかり、また同じものを買ってしまった……、それがストレスになってしまうのであれば「対策」は必要でしょうが、やっぱり新しいものと出会う(買う)のは、人生のとても大きな楽しみなのですね

 

お気に入り、新たな発見……親子で情報を共有するのも素敵なこと

 

以前、迷って買った鍋の「ル・クルーゼ」のことを書きましたが、去年の暮れに、新たな調理器具と遭遇してしまいました。それは、たまたま寄り道した中華街で出会った、ひとり用蒸籠とそれをのせるアルミ鍋。

 

実はほぼ数十年前に購入した、中華鍋にのせる大きな蒸籠は持っているのです。が、これまでに使ったのはおそらく3回くらい……。でも捨てられないなあと思っていて、ままごとセットみたいな小さな蒸籠は、お値段も手ごろ。肉まんにいいかななんて、軽い気持ちで手に入れたのです。

 

これが少しもひとり用ではなくて、しゅうまいはもっちりやわらか、根菜から葉野菜まで何を蒸しても、木の香りがほんのりして、色も鮮やかな蒸しあがり。そのまま食卓にも出せて、たちまち我が家の顔になってしまいました。今朝は、朝からひとり茶わん蒸しまで作ってしまったくらいです。

 

という小さい蒸籠のおすすめの話ではなく、ものとの出会いは、かくも楽しく、しかも、タイミングもあるのだなあということなのです。子どもたちが独立して、静かになった家で老いを感じながら暮らしていく毎日は、やはり楽しいことばかりではないなと思います。

 

そんなとき、こんな楽しみがひとつでもあったら、やっぱり楽しいなと思ってしまうのです。もちろん、先輩料理人である親に新しい調理器具を勧めるのは、けっこうハードルが高いと思われます。でも、そんなことから、また親子のコミュニケーションが始まったら。

今は携帯メールで写真が簡単に送れる時代ですから、実家を訪ねる勇気は出なくても、こんないいものがあったよ、とさりげなく伝えるような、あったかい交流ができたらいいなと、自分の親にはできなかった私は思います。


2015/01/28 | キーワド: , , , , | 記事: