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遺品整理のプロ 吉田太一の「親家片のススメ」 第5回 ~「親家片」と「断捨離」は、考え方や意味が異なります~

「自分以外の人のため」が、親家片の基本

断捨離とは、基本的にはヨガの行法だそうで「断行(だんぎょう)」「捨行(しゃぎょう)」「離行(りぎょう)」という考え方を応用して、人生や日常生活に不要な物を断つ、また捨てることで、物への執着から解放され、身軽で快適な人生を手に入れようという考え方、生き方、処世術のようです。

断=入ってくる要らない物を断つ

捨=家にずっとある要らない物を捨てる

離=物への執着から離れる

単なる「片づけ」や「整理整頓」ではないというわけですね。この言葉は、やましたひでこさんの著書が発表されて話題になり、人々に広く知られるようになりました。

 

これに対して「親家片」は、「自分のための部屋の片づけのすすめという自己啓発のような話」ではなく、「いつか回ってくる役割だとはわかっていたけれど、突然やってきた親の片づけのお手伝い」のようなものです。

 

判断に迷い、片づけが進まないこともまれではない

親と離れて別に住まいを設けている子どもが、いなくなった親の代わりにその部屋を片づけることですので、「断捨離」のように片づけをする当事者の問題ではなく、自分以外の人のために行う作業です。

 

自分の物ではない家財道具を自分の判断で片づけるのは意外に難しいもので、親が気に入っていた物を処分することに対しては、少し申し訳なく思ってしまう場合もあるでしょう。

 

また、親が生活していた部屋には、親の人生が残っており、家財道具を片づけることによって、その生きた証を消し去ってしまうことにもなるので、名残惜しさもあるでしょう。

 

遺品となった家財や、認知症になってしまった親の家財道具に関しては、本人に希望を確認することができず、そのジャッジを自分の判断でしなくてはならないという重大な責任も伴っているのです。

 

いくら自分の親であっても、その点について考えると躊躇してしまう人も多く、片づけができずに数年間放置してしまっている子どもさんも多いのが現状です。

 

同じ「片づける」でも、「親家片」と「断捨離」では、誰が誰の何を、何のために片づけるのかという点で全く性質の異なるものだといえるのですね。

 

吉田太一(よしだ たいち)
1964年生まれ。大阪府出身。日本初の遺品整理専門会社「キーパーズ有限会社」代表取締役。独居老人の増加に伴い身内の遺品の整理で困っている人が多いことに着目し、「天国へのお引越しR」をキャッチフレーズとした同社を設立。年間1500件に及ぶ遺品整理サービスを提供するほか、年間50回以上の講演活動、メディア取材で全国を飛び回る日々。まさに「親家片」のエキスパート。著書は『遺品整理屋は見た!』『孤立死 あなたは大丈夫ですか?』(以上扶桑社)、『私の遺品お願いします。』(幻冬舎)ほか多数。さだまさし原作の映画『アントキノイノチ』のモデルとしても知られる。
キーパーズホームページ http://www.keepers.jp/