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新しい親家片スタイルを探る! 30・40代の親家片 第4回 ~母の思いを知る。何よりも大切な第一歩~

祖母が遺した古い写真の数々をみて、親のモノを捨てることの大変さをようやく肌で感じた浦上。

親家片の先輩である母と、母自身のモノをどう片づけていくか、話をしてみた。

 

子どもに勝手に捨てられるのは嫌、
自分の始末は自分でつけたい

 

「祖父、祖母が生きているうちに、モノの片づけを始めておけば、もう少しラクだったのでは?」と聞いてみる。

 

「それは難しかったんじゃないかな。おじいちゃんもおばあちゃんもしっかりした人だったから、嫁の私からアレコレ指図されて『これはもういりませんね?』『これは捨てますよ』なんて片づけをされてしまったら、とても嫌な気持ちになったと思う。

 

私からみたら要らないモノだらけでも、ふたりにとっては大切なもの。『使ってない、しまいこんで忘れている』っていうのは、子ども側の意見。たとえふだん使わなくても、押し入れの奥にあって1年中目にしないとしても、それが存在すること自体が、心穏やかに暮らすために必要なものってあると思う。だから、わたしは一切『片づけましょう』なんて言えなかった」

 

後々、片づけで苦労することを予見しながらも、祖父母が生きているうちに手をつけることはできなかったという。それは、老いた祖父母にとってはつらすぎることだったはずだから、と。

 

そうした経験から、「自分のモノの片づけについては自分でする」という母。

「わたしのモノは少しずつ整理して、今でもできるだけシンプルに暮らすようにしているつもり。でも、子どもたちに引き継いでもらいたいもの、できたら持っていてほしいものもある。そういったものは、これから折りをみて、譲っていけたらと思っているの。

娘に私の持ち物を見てもらって、今から片づけをいっしょに始めましょう、なんていう気にはなれない。私も子どもに『これ捨てちゃえば?』なんて言われたら、ムッとすると思うもの。自分のモノは、自分で始末をつけていくつもり。

でも、こうやってときどき話ができたらいいね。たとえば、お墓のこととか、わたしが死んだら棺に何を入れてほしいとか。そんな話、なかなかできないもんね」

 

母と初めて話した、親家片のこと。片づけはちっとも進まなかったけれど、母の考えを聞くことはできた。親子といえども、やはり話してみないとわからないことが山ほどある。母の話は、子であるわたしにとっても新鮮で、心に響くものだった。

 

30・40代の親家片は、片づけそのものではなく、シミュレーションでいい。本サイト古戸編集長が最初に教えてくれたように、今は「母と親家片について話す」だけでも十分な一歩。重く、大きなテーマだけれど、母との会話は決して暗くはなく、しんみりするものでもなかった。帰省のたびに、少しずつでも親家片について、母の老い支度について、話し合っていきたい。

 

30・40代親家片最終回1edited

30・40代親家片最終回2edited

家の裏にあるプレハブ物置。一時は、本の重みで扉が開かなくなったそうだが、今はだいぶ整理された。

 

いつもは食っちゃ寝でただただ怠惰に過ごす帰省が、人生初の実り多き帰省になりました!

(完)

 

取材・文/浦上藍子