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住宅リフォームのプロ「パナホーム」が手がける「親の家のリフォーム」 第4回 ~リフォームが生きるエネルギーに。ある親子の親家片ストーリー~

 

 

親との同居、実家を継ぐ、空き家になった親の家の再生……。リフォームの裏には、家族の数だけの親家片ストーリーがある。これまで多くのリフォームを担当し、新しい住まいへの希望を形にしてきた水口さんが出会った、母と息子の親家片ストーリーを紹介。

 

始まりはショールームに持ち込まれた、
一枚のスケッチ

 

今から5年前、ショールームに、ひとりの男性がやってきた。

「こんなふうにリフォームしてください!」

手に握りしめているのは、ある間取りのスケッチ……。そこには壁紙のイメージ、家具、家電の置き場所まで、詳細に描きこまれていた。手間をかけた、気持ちのこもったスケッチだった。

 

「見事なスケッチに、ショールームで大騒ぎになったんです。お話をうかがうと、その方のお母様が手書きで描かれたとか……。私は地域的に担当外だったのですが、急遽リフォームを担当させていただくことになりました」(水口さん)

 

スケッチを持ってきたのは東京都内に住む野口さん(仮名)。ずいぶん前に独立し、母親は実家である神奈川県の3LDKのマンションに一人暮らしをしていた。上の画像は、実際に野口さんが持参したスケッチだ。

リフォームのきっかけとなったのは、70代の母親が病を患い、入院したことだった。

 

「そのご病気というのが、完治するかどうかわからないという大きな病だったそうです。お医者さまからもとにかく気の持ちようが大事、治るんだという意識を本人がまずは持たないと一歩も進めません、といったことを言われていたそうです」

 

自力で立つことができず、病床に臥している母を見て、また元気になってほしい、生きる希望を見つけてほしいと、野口さんは母親との同居を決意した。

「お母さん、僕は実家に戻るよ。リフォームしたいから一緒にプランを考えようよ」

息子のこのひとことが、母の全身に生きるエネルギーを注ぎ込んだ。

 

「ご実家は、マンションとはいえとてもこだわりのあるすぐれた建物だったそうで、いつかはリフォームしたいと考えられていたようです。息子さんから『リフォームプランを一緒に考えようよ』という言葉が出て以来、お母様の気持ちがグッと前向きに変わったんですね。それまでとは打って変わって、ベッドの上で家の間取りを思い出しながら、精力的にスケッチを描き始めたんです」

 

一時帰宅、退院……リフォームが進むごとに活力がみなぎっていった

 

デザイン系の学校を出ていた母親と、同じくデザイン系の仕事に携わる息子の会話は盛り上がり、部屋の仕切り、壁や床の素材、インテリアの色目使いなど、幾度となく話し合った。「自分が治るという意識を持たないと」と医者から言われていた母親の姿は、もうそこになかった。

 

「もともと、とてもオシャレにお住まいになられていた方だったのですが、リフォームプランでは黒を基調にして赤をアクセントにしたいなど、とても積極的にお話をしてくださいました。打ち合わせの段階で、すでに一時帰宅が認められるほど病状も快方に向かっていて、こちらでいろいろと壁紙や床材の素材を用意すると、『もっとこういうものはないの?』とご納得がいくまで、とことんこだわりを持たれていました。僕も四苦八苦しましたけれど(笑)、70代のかたでここまでしっかりご自分のプランをお持ちのかたは、なかなかいらっしゃいません。

 

その後施工が始まってその様子を見にこられたら、『早く退院したい』という気持ちがさらに強くなられたのか、完工後しばらくして退院されたんです。それから数回、点検でお伺いしたのですが、お会いするたびにどんどんイキイキとされ、元気になられていきました」

 

息子との新しい生活が始まった2年後には、自分の足でキッチンに立ち、料理もできるようになった。点検で伺った水口さんに、手づくりピザをもてなしてくれたそうだ。

 

野口さん邸リフォーム後

親家片パナホーム第4回2

 

親家片パナホーム第4回3

黒を基調とし、赤と白の家具でアクセント

親家片パナホーム第4回4

玄関は白をベースに明るい印象

 

「住まい」は生きることそのもの。新居の建築や新築マンションの購入で夢を抱くように、親の家のリフォームもまた、「そこに住む皆が夢を見られる空間づくり」でなければならないのだ。

 

 

(完)

まとめ/長澤幸代

 

 

パナホーム川見さまプロフィールパナホーム リフォーム株式会社 事業企画センター所長 川見竜一さん
1987年㈱リクルートに入社し、住宅情報の営業、ホットペッパー・タウンワークの企画・マーケティングなどを歴任。バイトルドットコムのディップ㈱の営業企画担当役員を経て、2011年パナホーム㈱に入社。商品開発部門の企画・マーケティングを歴任し、2013年10月のパナホーム リフォーム㈱の創業からリフォーム事業の企画・マーケティングを担当。




パナホーム水口さまプロフィールパナホーム株式会社 リフォーム技術部 チーフマネージャー 水口努さん
1988年松下電工株式会社(現:パナソニック)入社。キッチン・バスなど住宅設備機器のデザインを担当。2004年より中国でパナソニックの内装業を立ち上げ、素敵な空間づくりで中国人の心をつかむ。2013年4月よりパナホーム株式会社においてリフォーム部門の設計を担当。

パナホーム株式会社 http://www.panahome.jp/