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ふとんのプロ「東京西川」に聞く、親の家のふとんとのつきあいかた 第3回(最終回) ~親の思い出のふとん、こんなリユースもできる~

親の家の片づけで出てきた大量のふとん類は、収納スペースの問題などからとっておくのは難しく、そのほとんどを処分することになる。しかしいざ捨てようとすると、親の使っていたふとんを処分することにどこか後ろめたさを感じてしまうことも。親のふとんや思い入れのあるふとん、心の区切りをつけるいい方法はないだろうか。

 

1枚だけ残した父親のふとんが、
あるものに生まれ変わる……

 

前回、前々回とふとんの手入れや収納方法について話を伺った池田さん自身も、親家片経験者。父親が亡くなり、実家に母親がひとりで住むことになったタイミングで、親の家の片づけを行った。

 

「父が亡くなってからも部屋をそのままにしておいては、母の気持ちの整理がつかないだろうと、とにかく一度片づけをすることになりました。母は『もったいないから捨てない』といったことがなく、いる・いらないの判断は子どもたちにまかせてくれましたが、片づけを始める前、母を説得するのに時間がかかりました。

母は『このままでも生活するのには困らないのだから、わざわざ捨てなくても……』といった気持ちがあったようですが、『片づけないと気持ちの整理もできないだろうし、このままお父さんのものを置いておいても、いずれは邪魔になってしまうと思うよ。そのときどうやって捨てるの?』などいろいろ話し合い、それに丸1日費やしました」

 

母親が納得した上で始めた親家片は、のべ日数にして10日ほどかかった。

 

「父は多趣味で、それに関連したものがたくさんありました。懐かしさもありますし、ものには歴史が詰まっていますから、ひょいと自分のもののように簡単に捨てることはできませんでした。でもすべてを残すわけにもいきませんから、たとえば趣味のものなら1ジャンルで1つだけ残すと決めて、そのなかで一番いいと思うものを母に選んでもらうことにしました」

 

親族への形見分けも考えたが、「もらった人が困ってしまう場合もある」と、あえてしなかったという。

 

 

ふとんの生地を使い、インテリア小物にする方法も

 

ふとんも趣味のものと同じように、父親のものを1枚だけ選び、残りは処分した。

そしてその1枚のふとんを、池田さんは座布団として生まれ変わらせることに……。

 

「何か形にして残したいと思い、座布団にしようと決めました。中の綿を再利用するのは難しいのですが、生地は使えますので、ふとんをリユースされる方は実は多いんです。座布団のほかにもクロスにしたり、インテリア小物にする場合もありますね」

 

「捨てたくないけれど、仕方がない」「思い出としてとっておきたいけれど、どこにしまっておこうかしら……」

もし親のふとんを前にしてこんなことを感じたら、リユースを検討してみるのは決して無駄なことではないだろう。

 

池田さんの父親のふとんで作られた座布団は、今、父親の仏壇の前に敷いてある。

 

親家片を経験して池田さん自身、感じたことがあるという。

 

「親の家の片づけは、まず親ときちんと話をすることが最優先だと思います。そして自分もいつかは同じ立場になるのだと思って片づけをしなければならないこと、今はその予行演習だと心得て片づけをすすめることも大切だと実感しました。自分の子どもに同じような思いをさせないために、これからは自分の暮らしもシンプルにしようと思っています」

 

(終)

 

撮影/森安照 取材・文/長澤幸代

 

 

東京西川池田さんプロフィール東京西川 品質管理室兼お客様相談室
室長 池田努さん
1982年西川産業入社。販売部門及び商品部門を経て、2006年から現在の部署に勤務。
社是の「誠実・親切・共栄」をモットーに、ご使用いただくお客様の声を大切にし、安心・安全で、快適な睡眠をサポート出来る寝具を世界中に広めることを目指して奮闘中。

東京西川 http://www.nishikawasangyo.co.jp/