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主婦弁 澤田有紀の「親・家・片」法律コーナー 第8回 ~借用書が出てきたら~

親が借主の場合、督促状や過払い利息の
返還に関することの確認を

 

親が借主だったら、借金の返済が終わっているのか、返済中なのかを確認する必要があります。貸主が金融業者の場合には、返済が滞ったらふつうは督促状が届くなどの連絡があるはずですので、督促状などが届いていないかを確認しましょう。

 

金融業者は借主から取引の状況について問い合わせがあれば、取引履歴を開示する義務があります。親が死亡している場合には、相続人であることを示せば開示を請求できます。

 

かつて、消費者金融やクレジットカードのキャッシングは法定金利を超える20%以上のいわゆるグレーゾーン金利で設定されていることが珍しくなく、長年取引をしていると、いわゆる「過払い利息の返還請求権」が発生している可能性があります。ただし、完済から10年が経過すると請求権は時効で消滅してしまいますので、該当する可能性がある場合は早めに弁護士に相談してください。

 

消費者金融から借金をしていることは身内に言いづらいことです。30代のころから会社関係の付き合いのお金を消費者金融から借りたのがきっかけで、返済をするために借入を繰り返すうちにどんどん借金が膨らみ、退職金でも返済しきれず家族に隠して年金の中からずっと返済を続けている高齢者の方がいらっしゃいました。

 

入院がきっかけで借金が発覚し、家族に付き添われて事務所に相談に来られたのですが、3社の消費者金融から合計で1100万円もの過払い金を取り戻すことができました。本人にとっても家族にとっても思いがけない「埋蔵金」ですね。

 

また、親が貸主の場合、個人的に頼まれて親がお金を貸しているケースが想定されます。具体的な状況がわからなければ、なかなか請求をしづらいものです。

法的には借用書があっても、相手が借りた事実を否定すれば、お金の動きなど具体的な状況を証明する必要が生じる場合があります。借りた事実を相手が認めた場合には、返済をしたという事実は借主が証明する必要があります。

したがって、相手に問い合わせる場合には、「このような借用書が出てきましたが、返済してもらっていますか」と聞いてみましょう。

 

 

お金を貸したという人が現れた場合は、まずは借用書や「時効」の確認を

親にお金を貸しているという人が現れたら、本当にお金を借りているのかどうかを確認する必要があります。借用書などの書面に親が署名・押印しているのか、お金を本当に受け取っているのかなどがポイントです。

 

返済をしたという事実は借主が証明しないといけませんが、長期間返済をしていない場合には、借主から「時効」を主張できる場合もあります。個人間では時効は10年です。相手が業者などの場合は5年です。代わりに払ってしまう前に、事実をよく確認しましょう。

 

(太字の専門用語については下記の解説も参考にしてください)

 

取引履歴を開示する義務

債務者は貸金業者との取引において、明細や契約書を残していないことが多いので、業者は債務者から請求されれば、保管するすべての取引の記録を開示する義務があることが、最高裁判所の判例で認められている。

 

法定金利

お金を借りたい人は立場が弱く、貸主の言いなりの利息で借りてしまう可能性があるため、借主を保護するために利息制限法という法律で利息の上限が定められている。

元本10万円未満:20%、元本10万円以上100万円未満:18%、元本100万円以上:15%。

これを超えて払った利息は無効となり、借主は貸主に対して返還を請求できる。

 

グレーゾーン金利

法定金利の上限と出資法の上限の間の金利ゾーン。有効か無効かはっきりしないが、刑事罰は受けない灰色の金利。

法定金利を超える金利は本来無効であるが、改正前の貸金業法では一定の条件を満たせば貸金業者は29.2%まで認められており、また条件を満たさず違法であっても出資法の上限である29.2%までは刑事罰がないため、消費者金融やクレジットカードのキャッシングの利率が20%を超すような例が多かった。

 

過払い利息の返還請求権

平成18年の最高裁の判例で、消費者金融やクレジットカード業者などの貸金業者が貸金業法で定められた条件を満たしている例は事実上ないといえる判断がなされ、法定金利を超えて支払って払いすぎた利息を業者から返還する請求が急増した。

 

時効

一定の期間権利を行使しないと、権利が消滅する制度。ただし、時間の経過により自動的に権利が消滅するわけではなく、債務者の側から時効を主張する意思表示をしなければ、時効は完成しない。時効を知らずに支払いをした場合、時効は主張できないので注意が必要。取引の種類や個人間かどうかなどによって、時効の期間は異なる。

 

 

澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所所属。奈良県生まれ。昭和60年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務後エレクトーン講師に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、平成12年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』(ともに主婦の友社)。

 

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2014/11/01 | キーワド: , , , , , | 記事: