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主婦弁 澤田有紀の「親・家・片」法律コーナー 第7回 現金が出てきたら

突然出てきた「現金」。法律的には相続人の共有物に

 

粗大ごみとして処分する予定のタンスの中から数百万円の現金が出てきたとか、ごみの中からお金が出てきたというような話をときおり耳にします。

ちなみに「ごみの中から現金」というキーワードでインターネット検索をすると、数百万円単位で出てきたというニュースがいっぱいヒットします。

「粗大ごみのマッサージチェアから現金1000万円」「ごみ袋の中から新聞紙に包まれた400万円入りの紙袋を発見」など……。ニュースにはならないけれど、数十万円・数万円単位であればもっと事例があることでしょう。

 

せっかくためたお金を隠しておいたばっかりに、自分や家族のために有効に使われず終わってしまうのは悲しいことです。

 

預金保険制度で銀行預金が1000万円までしか保護が受けられなくなったということをきっかけに、複数の金融機関に預金を分散させたり、現金を手元においておく、いわゆる「タンス預金」にしている高齢者の方を多く知っています。

泥棒に入られると困るので、家じゅうのいろいろな場所に少しずつ封筒に入れて隠していると、そのうち自分でもどこに隠したのかがわからなくなってしまうのは当然です。

 

認知症になってしまうとなおさらです。預金も同じです。あちこちに分散させておくと、預けていることを忘れてしまい、いわゆる「休眠口座」になってしまいます。この場合相続人が困りますし、何よりもせっかくのお金がもったいないですよね。

 

家のあちこちにある現金は「あるべき場所」へまとめる

 

親の家を片づける際には、現金がどこかに隠してあるかもしれないという視点も忘れないでいただきたいと思います。

 

親が認知症になって施設などに入居するために、住まいをたたまなくてはならなくなったときは、親の介護と実家の片づけの両方で大変だとは思いますが、現金が発見できれば、介護の費用の一部にあてることができてありがたいと思います。

 

親が亡くなったあとに、遺品を整理していて現金を見つけた場合、法律的には相続人の「共有物」ということになります。したがって、遺産分割協議において遺産目録に記載したうえで、分け方を話し合う必要があります。ただ、発見した人が正直に申告するかどうかは、そのかたの良心に委ねるしかありませんし、もし現金があるかもしれないと思うのであれば、相続人全員で遺品整理を協力してやるべきでしょう。

 

現金を手元においてあちこちに隠している心当たりのある方は、現金は「あるべき場所」においておくこと、小口の預貯金口座がいっぱいある方は、今のうちに整理してまとめたほうがいいと思います。

 

(太字の専門用語については下記の解説も参考にしてください)

 

 

預金保険制度

万一、金融機関が破たんした場合に、信用秩序を維持することを目的として預金保険機構の預金保険制度により、定期預金や利息のつく普通預金等(一般預金等)は、預金者1人あたり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護される。

 

休眠口座

一般的に10年以上お金の出し入れがない口座。一般的に金融機関が時効により預金の消滅を主張することはない扱いになっているが、民営化前の郵便貯金の場合は、定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金が、満期の翌日から20年間引き出しの請求がなく、文書で知らせてもなお引き出しが行われないと、その2か月後に権利が消滅すると定められている。

 

遺産分割協議

亡くなった方(被相続人)の財産をどのように分けるかを相続人で話し合うこと。話し合いがまとまれば「遺産分割協議書」を作成する。

 

遺産目録

分ける対象となる遺産の一覧表。

 

 

澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所所属。奈良県生まれ。昭和60年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務後エレクトーン講師に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、平成12年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』(ともに主婦の友社)。

 

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