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「すっきり暮らす」と「楽しく暮らす」、優先順位はどちら?

年齢を重ねてわかる、心地いい暮らし

 

親家片には最適な天気の毎日が続いています。久しぶりに実家に帰って、予想以上の親の荷物の多さに唖然とした、という方もいらっしゃるかもしれません。親家片を終えた方たちから、しばしば出てくるのは「自分は子どもたちに迷惑をかけないように、シンプルに暮らしたい。自分の家の整理を始めるつもり」という言葉です。

 

確かに、70代、80代になるまで、物を持ちづけていくよりは、定期的に持ち物の点検整理をして、物を減らしていったほうが、どう考えてもいいに決まっています。

 

私も10年ほど前、『ゆうゆう』で「50代からはすっきり暮らそう」というテーマをたびたび取り上げました。いまももちろん、人気企画であると思います。子育てが一段落して、自分の好きな暮らし方もわかってきている「実りの時期」にさしかかって、体力のあるいまのうちに、もっと身軽に暮らそうというススメでした。

でも、年に何回も雑誌のテーマとして取り上げながら、まさに50代を走っていた私がやってきたことは、「すっきり」どころか、どちらかというと、その逆。子育てが少し落ち着くにしたがって、(どう考えてもモノが多いわが家にさらに)少しずつモノが増えていった時期でもありました。

 

当時、料理研究家や料理上手の方たちのキッチンには必ずあった「ルクルーゼ」などのほうろうの重い鍋。若いときから使い続けてきた方たちからは、そろそろ重いから手放そうかなと思っている、とも聞きました。相当、何年も手に入れることを悩み、そして、ある日、手に入れました。そして、それはいまや、わが家のコンロの上にチンと座っていて、2個目も参入。ずっとこれまた躊躇していた「圧力鍋」も手に入れました。こちらも便利というよりは、使うのが楽しい、持っているだけで楽しい。

 

ふだんの生活で感じる「ワクワク」も気分のいいもの

若いときから、好きなものがしっかりあって、センスの基準がブレないという方たちや、とにかくシンプルが心地いい、ホテル暮らしが最高と思うという方など、芸術的な人生を歩んでいる方は別として、いつも自分の「好きなこと」「楽しくなること」に向き合っているわけではなく、それは、実はジワジワと年を重ねてわかってくることもあるのではないかなあと、ふつう人の私は思っているのですが、みなさんはどう思いますか。

 

「すっきり暮らす」ということはとても気持ちのいいことですが、「新しいもの」と出会ってワクワクしたりする、もちろん失敗もする、それが、「楽しく暮らす」ことでもあるなと思ったりします。

 

70代、80代になると、片づけられなくなったり、転倒の危険も出たりするので、そこをフォローするのは子どもの役割だと思いますが、暮らしの楽しみは尊重してあげたいなと(自分自身の親家片では、暴走してしまった)私は思います。


2014/10/11 | キーワド: , , , | 記事: