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住まい方アドバイザー 近藤典子さんの「親の家の片づけ」 第1回~ひとり暮らしの義母を引き取ることに~

暮らしの変化にあわせた住まいの工夫や、暮らし始めてから気づく住まいの悩みを解決している近藤典子さんも、義母との同居から始まる親家片を経験しました。わが家に訪れた住まいの変化に、近藤さんはどう対応したのでしょう。5回に分けてお届けします。

 

いかにしてひとつ屋根の下に暮らすか。マンション住まいから一軒家へ

 

近藤さんが、義理の母親と一緒に夫と3人暮らしを始めたのは、30代の頃。その当時、義母は2SDKに、近藤さん夫婦は3LDKのマンションに住んでいた。

 

「それまで住んでいたマンションでは、義母を引き取ることができなかったので、急遽、一軒家を買うことになりました。30代でしたから経済的にも大変で、ローンを組み同居できる家を購入することに。人生設計がすべて変わってしまいました」

 

やっとの思いで手に入れた一軒家は、14.5坪の三階建て。トイレは2つあったが、キッチンはひとつ。洗面所やお風呂もひとつ、主要な場所はほとんどひとつ。

 

「2つの所帯のものがひとつになるわけですものね。自分のものは全部持っていきたいと思ってしまいますが、義母にも持っていきたいものがいろいろあることくらいわかりますからこう言いました。『お義母さん、家が狭くてあまり物を持って行けないと思うんだけど、ゴメンなさいね。だけど、お義母さんが大事にしているものもあるでしょうから、お互い相談しながら持ち寄って暮らしましょうって」

 

暮らしの悩みを解決するため、たくさんのお宅におじゃまし、さまざまな状況を見てきた近藤さん。30代で若かったとはいえ、物を無理やりや、泣く泣く子どもや周りから捨てられてしまった親の姿も幾多となく目にしている。

 

「そのときは平気にしていらっしゃいますけど、あとになってみなさん肩を落とすんですよね。他の人から見るとゴミ同然でも、物には思いが詰まっているものもありますから、捨てられたほうは自分の人生を千切られたような思いになってしまうのでしょう」

 

だからこそ、義母にも大事にしているものがあるだろうと、思いを寄せることができた。

 

問題は、いかにしてひとつ屋根の下で一緒に暮らすか……

たとえば食器棚。この大きさにすべてのお皿を収納するためには、どうしたらいいかと思ったとき、近藤さんは自分が使いたいものを写真に撮り、義母の家を訪ねては、同じようなものはどれ? どっちを残す? と話し合った。

 

「このやり方が正解だと言っているわけではありません。その人によって絶対にこれは、と手放せないものがあります。私だって絶対に譲れない場合があると思うんですね。ですから、たとえば1メートル20センチの食器棚を置けるスペースがあるのなら、60センチの食器棚を2つ置いて、分けて使うというのもひとつの手。それはケースバイケースなんです。ただ大事なことは、現実をお互い理解しあうための話し合いや工夫をどうするか! をきちんと決めることです。それが何よりも大切だと思います」

 

第2回へ続きます

撮影/森安照 取材・文/小山まゆみ

 

近藤さん プロフィール1edited近藤典子(こんどうのりこ)住まい方アドバイザー、株式会社 近藤典子Home & Life研究所取締役、「近藤典子の暮らしアカデミー」校長

1957年、兵庫県生まれ。2000軒以上の暮らしの悩みを解決し、10人いれば10通りの住まい方があると、住み手にあった近藤流の暮らしを提案。テレビ、雑誌、新聞などメディアや講演会での活動のほか、企業との商品開発やコンサルティング、間取り監修などでも幅広く活躍中。2011年度より小学校、2013年度より高等学校の家庭科用教科書(共に東京書籍)に登場。現在、「住まい方アドバイザー養成講座」の準備中。
近藤典子オフィシャルホームページ http://www.hli.jp/
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