専門家に聞く

怒りより、切なさより、家族の幸せな記憶から始めて

なつかしい家族の思い出話に、
まずは耳を傾けてみてはいかがでしょう

 

ようやく、いつもの秋らしい、気持ちのよい気候になりました。

もちろん親家片にもいい季節です。

 

先日もお話したように、大変なことが多い親家片だからこそ、早く終わらせなければと焦って始めるより、自分の体調がいいときに、できるだけ機嫌よく始めるのが、疲れすぎず、心に負荷をかけないためには大切なことです。

 

賃貸の期限が迫っていたり、親の引っ越しも同時にしなければいけなかったり、真夏や真冬の過酷な季節にやらなければいけない場合もありますが、そんな場合には、とにかく先を急がず、スケジュールには、十分に余裕を持つことを心がけたいものです。そうでないと、あなたの親家片には、「いい季節に、できるだけ機嫌よく進める場合の、何十倍もの負荷がかかることにもなりかねません。

 

ところで、親家片のスタートですが、最近は、「親に対するNGワードはありますか。どんな言葉がいいのでしょうか?」と取材で尋ねられることが増えました。

「どうして、こんなものをとっておいたの?」「もう使わないから、捨てていいわよね!」

そんな非難めいた口調や一方的な決めつけは、まさに逆効果で、親の心をかたくなにしてしまうことになってしまいがちです。でも、久しぶりに実家を訪問して、予想以上に親の老いが進んでいたことに気がつくと、子どもとしてはとても切なくて悲しくて、親を思う気持ちとは裏腹にというより、親を思うがゆえに、自分でも思いがけず、強い言葉が出てしまったりするものです。そして、一気には終わらない親家片を、親子とも、マイナスの気持ちでスタートするということになってしまったりします。

 

そうならないために、実家を訪ねたときには「早く片づけなくちゃ!」という気持ちはひとまず抑えて、子ども時代の懐かしいものをさがしてみることをおすすめします。

 

子ども時代の記憶は、自分の頭に残っているものと実はけっこう違っていたり、実家に残っている自分の絵や作文や日記などから、意外な記憶が甦ってきたりします。

「処分できなくて困るもの」に必ずあげられるアルバム、写真も、「こんなにたくさんあるのにどうしよう!!」と考える前に、まずは親子そろってゆっくり眺めて、親の昔語りに耳を傾けてみてください。

 

宝物のような、家族がともに苦楽をともに生きてきた記憶は、親世代にとっても、子世代にとっても、幸せな家族の1ページ。なつかしい気持ちが、ちょっと離れていた親子の距離をすっと近づけて、たとえ何かのわだかまりがあったとしても、なごやかに会話がはずんだりするものです。

 

まずは、幸せな家族の記憶から、親家片を始めてみてください。こわばりがちな肩の力が、少しは抜けると思います。