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主婦弁 澤田有紀の「親・家・片」法律コーナー 第4回 相続の手続きについて

相続人を確定するには?

 

法律によって定められた被相続人(相続される人)の財産について「相続する権利を持つ人」のことを法定相続人といいます。

法定相続人は、民法によってその範囲と順位が決められています。遺産相続の準備を始めるにあたって、最初に取りかかることの一つが、法定相続人が誰かを確認することです。ここに用意した「法定相続人確認チャート」をご利用いただくことで、「法定相続人は誰なのか?」を簡単にチェックすることができます。

 

下のチャートで「配偶者」という言葉が使われていますが、ここでいう「配偶者」とは、夫から見て妻、妻から見て夫ということで、入籍している場合に限られます。

チャートedited

 

戸籍をそろえる

 

金融機関や法務局などで相続の手続きをするときには、法定相続人の範囲の確定のために、かならず戸籍の提出を求められます。婚外子認知している場合には、その旨が戸籍に記載されています。

 

不動産の相続登記手続については、司法書士などに頼めば戸籍の取得などはすべて代行してもらえますが、金融機関などで預貯金の払い戻しをするときには、自分で戸籍を取得しなければなりません。

 

相続手続きでは、亡くなった方が結婚してから(未婚の方については16歳から)亡くなるまでの戸籍がもれなく必要になりますので、役所をあちこち回って苦労されるケースが多いようです。戸籍は結婚や転籍などで戸籍を移した場合のほか、省令により昭和32年と平成6年に改製が行われておりますので、改製される前の戸籍(改製原戸籍)と改製後の戸籍が必要になります。

戸籍の取得については、とりあえず亡くなった時点の戸籍を取得して、そこに記載されている従前の戸籍をたどって、一つずつ前の戸籍をさかのぼって取得していくことになります。遠隔地の役所の場合には、郵送のやり取りでも取得ができますので、役所のホームページなどで手数料や申請書などを確認してください。

 

遺産の分け方を話し合う

法定相続人の範囲が確定したら、財産をどう分けるか、誰がどの財産を取得するのかということを話し合います。話し合いがまとまれば後日紛争が起こらないように遺産分割協議書を作成しておきましょう。

 

金融機関で預貯金をおろすときには、それぞれの会社で所定の用紙に相続人全員の署名と実印(発行後3か月以内の印鑑証明書つき)の押印を求められます。

不動産について相続登記をする場合は法務局で手続きをします。自分でもできますが、司法書士や弁護士に依頼するとスムーズです。

 

(太字の専門用語については下記の解説も参考にしてください)

 

婚外子

結婚していない相手との間に生まれた子供。平成25年の民法改正で婚外子も相続の割合は婚内子と同じになった。

 

認知

婚外子との父子関係については父の認知が必要である。父親が認知届を父親または子の本籍地または父の住所地のいずれかの市区町村役場に提出する(任意認知の場合)。

 

改製原戸籍(かいせいはらこせき)

戸籍は昭和32年および平成6年の法務省令により改製が行われているが、改製時に新たに作成された戸籍には、その時点で戸籍に在籍している人のみが転記される。そのため改製前に子供が婚姻などで除籍されている場合には、改製後の戸籍では子供の存在が確認できないので、改製前の戸籍で確認することが求められる。

 

遺産分割協議書

分ける対象となる遺産の目録を作成して、それぞれが取得する遺産を明記し、その分け方で合意したことを明らかにするための書類。法定相続人全員が署名押印する。

 

相続登記

相続を原因として所有権を移転させる登記。不動産の所在地の法務局で手続きをする。

 

澤田先生の法律事務所 弁護士法人みお綜合法律事務所 http://www.miolaw.jp/

sawada澤田有紀 
弁護士。弁護士法人みお綜合法律事務所所属。奈良県生まれ。昭和60年大阪大学文学部英文科卒業後、商社勤務後エレクトーン講師に。阪神淡路大震災をきっかけに、「何か人の役に立つことがしたい」と一念発起。弁護士を目指す。1回で司法試験に合格し、平成12年に弁護士の道へ。専業主婦から弁護士になった「主婦弁」として各メディで活躍中。主な著書に『人生を変える!3分割勉強法』(祥伝社)、『カード&住宅ローン危機』、『相続でもめないための遺言書』(ともに主婦の友社)。

 

 

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